技術コラム
樹脂の積層造形(3Dプリンティング)ならギケン
2025.04.02
樹脂試作のギケンでは積層造形をはじめ多様な工法で、製品開発の初期段階からの製作支援を行っています。
- 多様な工法からの最適な加工方法の提案
- 用途に合わせた最適な材質提案
- 1個からの短納期試作
- 図面がないポンチ図からの図面化
- 試作品の評価・測定やシミュ―レーション
- 円滑な量産への移行支援
樹脂積層造形(3Dプリンティング)とは?
積層造形(3Dプリンティング)とは、CADなどのデジタルデータをもとに材料を一層ずつ積み重ねて立体物を作る製造技術です。従来の材料を削り出して作る方法(切削加工)とは異なり、必要な部分だけを効率よく積み重ねて成形します。これにより、複雑な内部構造や一体型のデザインを低コストで自由に実現できます。特に樹脂を使った積層造形は、小ロット生産や試作品の迅速な製作に最適です。
主な造形方式と特徴
樹脂の積層造形には主に「FDM方式」「SLA方式」「SLS方式」の3つがあります。
熱溶解積層法(FDM方式)
FDM方式は、熱で溶かした樹脂フィラメントをノズルから押し出し、積み重ねていく方法です。材料としてはABSやPLA、ナイロンなどが主に使われます。FDMの最大のメリットは、装置が安価で扱いやすく、強度のある造形物が作れることです。治具や簡単な機械部品などの試作品に適しています。一方、造形物の表面に積層痕が残りやすく、表面仕上げのためには追加加工が必要になることがあります。
SLA(光造形)方式
SLA方式は、液体の感光性樹脂を紫外線で硬化させる方式で、非常に高精細な造形が可能です。細かいディテールを求められるプロトタイプや歯科模型、デザイン模型などに適しています。表面が滑らかで、造形精度も非常に高いため、外観重視の用途に最適です。一方、材料が紫外線に弱く、機械的な強度や耐久性は比較的低いというデメリットもあります。
選択的レーザー焼結法(SLS方式)
SLSは粉末状のナイロン樹脂をレーザーで焼結(溶かして固める)する方式です。サポート材が不要で複雑な形状を一体で作成可能であり、強度や耐久性が非常に高い造形物を作ることができます。機械的強度が必要なパーツや機能試作品に適しています。一方、表面はやや粗く仕上がるため、最終製品には追加加工が必要なことがあります。
積層造形のメリットとデメリット
メリット
- 設計自由度が高い:複雑な内部構造や空洞を持つ部品でも容易に造形できます。
- 低コストで迅速に試作可能:金型が不要で短期間に試作品を製作できます。
- 小ロット生産に最適:少量でも生産可能で在庫を持つ必要がありません。
- 材料のロスが少ない:必要な部分だけを積層するため、材料効率が良く環境負荷も低減できます。
デメリット
- 表面の仕上げ精度が低い:特にFDM方式では表面に段差が生じやすく、滑らかな仕上げには後処理が必要です。
- 強度の問題:積層方向によって強度が異なり、層間剥離が起きる可能性があります。
- 大量生産には不向き:生産速度が比較的遅いため、大量生産にはコストがかかります。
他の加工方法との比較
真空注型との比較
真空注型はシリコン型を用いて複製品を作る方法で、数十個の試作品を短期間で作れる利点があります。積層造形は1~数個の試作に適しており、シリコン型を作る必要がないため迅速です。ただし、真空注型の方が表面仕上げや材料特性が優れており、ある程度の数を作る場合は経済的です。
切削との比較
切削は高い精度で寸法精度や表面仕上げが得られますが、複雑な内部構造は難しく、材料ロスも多いです。一方、積層造形は自由度が高く、複雑な内部構造も容易に作れますが、精度は切削より劣ります。目的によって使い分けが必要です。
射出成形との比較
射出成形は初期費用が高いですが、大量生産では圧倒的にコストが安くなります。積層造形は少量の生産や頻繁な設計変更に柔軟に対応できます。試作段階や限定生産では積層造形が有利ですが、数万個以上の大量生産では射出成形を選択するのが現実的です。
使用可能な樹脂材料
- ABS:耐熱性・耐衝撃性に優れ、機械的な強度を要求される用途に適しています。
- ナイロン(PA):高強度・耐摩耗性が求められる部品に使われます。
- 光硬化性樹脂:PPライク・ABSライクなど
積層造形の活用事例
積層造形は以下のようなシーンで活躍します。
- 製品開発の試作評価:迅速な試作で設計変更に即座に対応可能です。
- 治具や工具の製作:製造ラインで必要な工具や治具を短期間で作成できます。
- 医療分野でのカスタム品製作:患者に合わせた専用部品を容易に製作できます。
- スタートアップ企業での試作やテスト販売:初期投資を抑えて製品の市場投入が可能です。
- 小ロットの限定品製作:少数の製品を低コストで迅速に製造できます。
ギケンの強み:最適工法提案
試作領域においては、積層造形、真空注型、切削加工など多様な工法を活用し、お客様の製品仕様やご要望に最も適した工法をご提案いたします。幅広い選択肢の中からメリット・デメリットを踏まえた上で最適な工法を選定し、試作段階から効率的かつ高品質な製品づくりを実現します。