技術コラム
樹脂加工のプロが語る!大物部品対応の熱板溶着のメリットと特徴
2025.04.02
大物の樹脂製品の製作において、接合技術は製品の品質や耐久性に直結する重要なプロセスです。大型の部品を加工する際は、振動溶着と熱板溶着が主要な選択肢として比較されますが、弊社は熱板溶着の技術を取り入れております。数メートルクラスの大型樹脂部品を安定した品質で接合可能であり、この規模での対応力を持つ業者は国内でも非常に少ないため、市場での希少価値が高く、多くのお客様から支持を得ています。
ギケンの熱板溶着
社内に熱板溶着機を3台完備しており、初回トライ時からタイムリーにトライできます。
PLが変化している製品にも専用治具にて対応可能です。
また、溶着品質確認の為の破壊・リークテストも得意としています。
熱板溶着のしくみ




熱板溶着とは
熱板溶着とは、加熱した金属製のプレート(熱板)を樹脂の接合面に押し当て、一時的に表面を溶融させ、その後熱板を取り除き、溶融した樹脂同士を融合させる技術です。冷却により部品が一体化し、その強度はまさに一体成形品に匹敵します。大型で複雑な形状や広い接合面積を持つ製品の加工に特に適した方法として知られています。
熱板溶着の主なメリット
① 強力な接合強度
熱板溶着は、樹脂表面を直接溶かして一体化させるため、接着剤やネジなどの物理的な接合方法より遥かに強力な接合強度を実現します。溶着後の製品は母材と同等の強度を持ち、繰り返し負荷や温度変化に対しても高い耐久性を発揮します。
② 優れた気密性・防水性
熱板溶着による接合部にはピンホールや隙間がほとんど発生しません。そのため、水タンク、燃料タンク、密閉ケースなど、気密性や防水性が求められる製品にも最適です。
③部品点数の削減
熱板溶着では接着剤やネジなどの消耗品が不要なため、生産時の追加コストを大幅に削減できます。また、部品点数の削減や生産工程の簡素化にもつながり、生産効率の向上とトータルコスト削減を実現します。
【振動溶着との比較】
項目 | 振動溶着(バイブレーション溶着) | 熱板溶着(ヒートプレート溶着) |
溶着原理 | 接合面を水平方向に高速振動させ、摩擦熱で溶融・接合 | 熱板(ヒートプレート)で接合面を加熱・溶融させて接合 |
対象材料 | 熱可塑性樹脂(PP、PA、ABS、PC、POM等) | 熱可塑性樹脂(PP、PE、PA、ABS、PC、POM等) |
接合強度 | 高い(摩擦熱による安定した溶融) | 高い(均一な加熱による強固な溶融) |
溶着速度 | 比較的速い(数秒〜十数秒程度) | 中程度〜遅い(数十秒〜数分程度) |
サイクルタイム | 短い(量産向き) | 長い(振動溶着と比べるとやや長め) |
溶着後の外観 | 若干のバリや摩擦痕が残る場合がある | 比較的良好(滑らかでバリが少ない) |
製品形状の制限 | 振動方向に対して平面的な製品が適する | 複雑な立体形状にも対応可能 |
ランニングコスト | 中程度(摩耗部品のメンテが必要) | 中〜低(熱板の交換・メンテナンスが容易) |
大型製品接着における溶着法の選定ポイント
- 振動溶着は、一定以上のサイズになると、振動による接合ムラやバリ、設備コストの急激な増加が課題になります。そのため、大型でも比較的平面的・薄物の製品には対応可能ですが、極端に大きな製品や立体形状の接合は苦手です。
- 熱板溶着は、大物や複雑な立体構造にも柔軟に対応でき、安定した品質や比較的低い設備コストで優位性があります。ただし、溶着サイクルは長めになる傾向があります。そのため量産よりも、少量向けがメインです。
弊社が選ばれる理由
弊社が多くの企業から選ばれる最大の理由は、大物部品に対応した熱板溶着の技術力と安定した品質です。自動車のバンパーや燃料タンク、家電製品の外装ケース、産業用の薬品タンクなど、多岐にわたる分野で実績を積み重ねており、その品質の高さは市場から高い評価をいただいています。
また、弊社では樹脂加工の設計段階から溶着を考慮した最適な設計提案を行っています。経験豊富なエンジニアが製品設計の段階から関わることで、最終製品の品質向上と生産コストの最適化を実現しています。
適用事例
弊社の熱板溶着技術は、自動車業界、家電製品、医療機器、産業機器など様々な分野で採用されています。
- 自動車業界:バンパー、燃料タンク、ウォッシャー液タンク等の大型部品。
- 家電製品:洗濯機や掃除機の外装ケースなど。
- 医療機器:気密性が求められる医療用容器や機器の筐体。
- 産業機器:薬品タンクや産業用のフィルターケースなど。
これらの製品群で求められる高い品質基準をクリアし続けてきたことで、弊社の熱板溶着技術は安心と信頼を兼ね備えた技術として認知されています。
大物樹脂製品の製作ならギケン
弊社の熱板溶着技術は、大物部品に対する加工精度、高い接合強度と気密性、そしてランニングコストの削減など、多くのメリットを兼ね備えています。特に他社では対応が難しい大型製品に特化した加工能力は、お客様の製品競争力向上に直結します。
製品設計段階からのご相談も歓迎しております。高品質で効率的な溶着加工をお求めの場合は、ぜひ弊社にお気軽にお問い合わせください。